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特集、論稿、出版物

年金運用におけるOCIO導入のメリットと課題

執筆者 小渡 ゆみ | 2026年2月24日

年金運用におけるOCIOは、投資戦略の設計から実行・管理までを外部専門家に委ねる包括的サービスである。費用の高さが課題とされる一方、付加価値やコスト削減効果、業務効率化を踏まえた総合的評価が重要となる。

OCIO(アウトソースド・チーフ・インベストメント・オフィサー)は、近年年金資産運用業界において急速に注目を集めている概念である。特に2024年8月に政府が公表した「アセットオーナー・プリンシプル」において、受益者の最善利益を確保するため、必要に応じて外部専門家を活用することが推奨されたことが契機となり、OCIOへの注目は高まっている。本誌vol.77でも特集が組まれたが、読者アンケートでは導入時の懸念点として「委託費用の高さ」が挙げられ最多の41%を占めた。費用面の不安が、日本におけるOCIO普及の大きな障壁となっていることは否めない。

一方、海外ではOCIO市場が急成長している。Pensions & Investments誌(2024年11月)によれば2013年の市場規模は9,406億米ドルであったが、2024年には推定3.1兆米ドルへと拡大しており、2029年までに5兆ドル規模に達する可能性も指摘されている。このような急成長は、OCIOが単なるコストではなく、付加価値を生む包括的サービスとして評価されていることを示している。

OCIOサービスの費用が高いか否かは、単純な金額比較ではなく、その役割と提供価値を踏まえて評価すべきである。OCIOは単なる助言にとどまらず、投資戦略の設計・構築・実行に加え、継続的な管理、監督、コンプライアンス対応、レポーティングなど、幅広い責任を担う包括的なサービスである。このため、費用は単なる追加コストではなく、専門性と総合的な運用力に対する対価と位置付けられる。

さらに、OCIO導入が必ずしも総コスト増加を意味するわけではない。OCIOでは、大規模顧客資産に基づき投資マネジャーの手数料の低減が可能になったり、投資マネジャーとの協働による革新的かつコスト効率的な専用戦略へのアクセスが可能になったり、自社運用商品に捉われずに柔軟にベスト・イン・クラスの投資マネジャーを選択できるといったことから、OCIO手数料を含めても全体のコストが減少する事例が存在する。また、OCIOとの連携により、日々の運用管理にかかる社内の負担を適切に分散させることができ、経営陣や運用担当部門がより戦略的意思決定や本業に注力できる体制が整う。これにより、時間的・人的負荷の最適化や業務効率の向上が期待される。

総じて、OCIOの費用は単なる高低で判断すべきではなく、提供される付加価値、コスト削減効果、業務効率化の観点から総合的に評価することが望ましい。費用の見え方だけで導入を判断するのではなく、長期的な運用成果と組織全体の効率性向上を考慮することが求められる。


※本稿はオルイン78号(2025年12月)への寄稿を転載したものです。

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執筆者


コンサルタント
インベストメント部門

大和証券にて、機関投資家向け日本株トレーダー、エクイティ・シンジケート等を担当。WTW入社後は、資産運用コンサルティングに従事。同志社大学経済学部卒業。


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